アンケートなんかするなよ!

歩道に続く幟には、古着買取と染められていて、それが今日の雨の中で風に煽られて揺れている。

向こうにステーキ屋の看板があって、昼時の我が近辺は商魂の戦いが凄まじい。

病院からの帰り道、俺は聖なる緑内障を患っているのに薬を貰い損なって、なんとなくささくれ立った気持ちでこの道を歩いている。

調剤薬局に薬が無いなんていうことが、そんなに良くある事じゃないだろう。それが、俺の時間軸にぴったり同期して、何も薬をもらえないまま、こんなつまらない歩道を歩いているのだ。

1本880円。ザラカム。点けられるものなら点けてみろっていうものだ。

それにしても、俺がイライラしているのは、朝っぱらからNHK世論調査なるものの結果をさり気なく放送していたからなのだ。

 

NHKのまことしやかな放送ときたら! 

 

オウム真理教の一連の事件で13人の死刑囚全員に刑が執行されたことに関連して、NHKの世論調査で死刑制度について聞いたところ「存続すべき」が58%で、「廃止すべき」が7%でした。

NHKは今月3日から3日間、全国の18歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。

調査の対象となったのは2162人で、56%にあたる1205人から回答を得ました。

日銀が大規模金融緩和策を一部修正したことを「大いに評価する」が6%、「ある程度評価する」が32%、「あまり評価しない」が35%、「全く評価しない」が8%でした。

オウム真理教の一連の事件で13人の死刑囚全員に刑が執行されました。死刑制度について聞いたところ「存続すべき」が58%、「廃止すべき」が7%、「どちらともいえない」が29%でした。

来年4月から外国人材の受け入れを拡大する政府の方針に「賛成」が31%、「反対」が21%、「どちらともいえない」が41%でした。

東京オリンピックパラリンピックの暑さ対策として夏に生活時間を早める「サマータイム」の導入に「賛成」が51%、「反対」が12%、「どちらともいえない」が29%でした。

 

まず最初に死刑制度の存続について存続か廃止かの結果を放送する。

その後、日銀の大規模金融緩和策の一部修正への評価(つまりはアベノミクスについて)、外国人労働者の受け入れについて、東京オリンピックの暑さ対策としてのサマータイム導入についてのアンケート結果が続くのだ。

ご丁寧なことに死刑制度の存続についてのアンケート結果だけを、さり気なく繰り返している。

 

いかにも死刑制度についてアンケートを取っているような振りをしているのだが、質問の最初がオウム真理教の死刑囚全員に死刑が執行されたことを受けてのアンケートになっているので、まるで、13人の死刑囚を7月の短期間の間に7人と6人ずつ死刑執行したことに賛成か反対かのような印象を与えることになっている。

なんと姑息なアンケートの操作だろう。

 

上川陽子法務大臣という自分が死刑執行命令に署名したにも関わらず、その死刑執行が実行される前夜に、自民党の宴会で音頭を取り、最後は笑顔でバンザイまでしていたという気のふれた老女の醜悪さを忘れさせるためのアンケートだったのだろうか。

死刑制度の是非と、実際に、13人もの人間を一度に死刑にしたということは違う話だろう。

 

また、台風がやって来る。

俺の頭も狂っているが、それは歳のせいだ。本当に苛だたしい。

今、気がついた。サマータイムに賛成が51パーセントなんてありえないだろう!