我が感受性

ミラボー橋の下を セーヌは流る

そして僕たちの愛も

アポリネールが詩ったミラボー橋の世界は、若いころの淡い夢の中に消えてしまってもいいのだが、いまだに残り火が燻っていて私の判断力を鈍らせてしまう。

現実は、アルフレッド・ジャリがユビュ王の中で登場させた王自身が叫ぶように、人間はクソ袋に過ぎないのだ。ジャリのこんな言い方も、正確な人間認識から遠くて即物的なのだけれども、甘ちょろい人道主義的演劇へのアンチテーゼとしてのメッセージなのだろう。

ただ、冷静な目で世界を分析して見ることが苦手な私は、いまだにミラボー橋の周辺をうろつき回るしか能がない。

だから、自分の感情を表出することなく現実世界を分析する評論家や学者は、偉いなと思う。

結局、私は自分の夢見がちな感情から抜け出すことが、死ぬまでできないのだろう。

幻想を抱いたまま感情の虜として人生を終わるのかな。