生活保護へのバッシング

 1月23日の共同通信の配信に「生活保護不正受給が3千万円 ギャンブル収入申告せず」という見出しで、次のような記事が載っていた。


 厚生労働省は23日、生活保護受給者がパチンコや競馬といったギャンブルで得た収入を申告せず、自治体が不正受給と認定した金額が2016年度、全国で3056万円だったと公表した。

 昨年1月、当時の塩崎恭久厚労相が国会で日本維新の会の議員から調査を求められ、実態を調べる意向を表明。福祉事務所を設置している都道府県や市など、約900自治体を対象に実施した。

 生活保護法に基づき、不正受給として徴収が決定したのは100件、計3056万円。内訳は競馬が2266万円、パチンコが287万円、ボートレースが211万円だった。通帳などを点検して発覚したという。


 なぜ厚労省は、生活保護受給者のギャンブル収入の未申告を不正受給として、わざわざ発表したのだろう。100件で3056万円という額は、思ったより少ないという印象がある。

 日本維新の会は、なぜこんなことの調査を要求したのだろう。生活保護を受けなければならない人は、様々な事情があるからこそ、受給しているはずだ。そして、ほとんどの人が不正受給などしていない。

 にも関わらず、こんなことを調べるというのは、生活保護を受けている人たちみんなが、まるで不正を働いているような印象を与えるものであろう。

 生活保護というのは、国民の生活を守るためのセーフティーネットだ。この制度が機能不全に陥ったりすると、国民は安心して暮らすことはできない。

 一生のうちには、どんなことが起きるか分からない。今、健康で何不自由なく働いていても倒れて、無収入になることだってある。年老いて、体が思うように動かなることもある。精神的に病んでしまうこともあるだろう。

 ギャンブルも、依存症になると日常的な生活はできなくなるだろう。

 私たちは、他者に対する想像力を働かせなければならない。自分は大丈夫だ、自分には関係ないことだと思っている限り、日本維新の議員のような調査を求めることになってしまう。もっと大らかにできないのかなあと思う。