シュトルム・ウント・ドランクな日々
この三日間ほどは、 なんだか目まぐるしい日々であった。シュトルム・ウント・ドランクな日々だった。
シュトルム・ウント・ドランクなんて、久しぶりに使った言葉だ。疾風怒濤って日本語では訳したりする。
世界演劇史の中で、初めて知った言葉なので、大げさな言葉だけれど、懐かしい。一生懸命に背伸びをしていた若い頃の自分が思い出される。
でも、今回、こんな言葉を使ったのは、この言葉が持っている背景など、全く関係ない。この何日かが、やたらと慌ただしく、そんなしんどい気持ちを表す言葉として浮かんで来ただけだ。
昨日は、この数日の慌ただしさのトドメを刺す出来事が起こってしまった。
奥さんが、ボランティアでやっている仕出し弁当の調理中に左手の人差し指を爪の上から切ってしまったのだ。
昼に指を切ったのに、バンドエイドをしているだけで、病院を探してもいない。行きつけの整形外科で診てもらうつもりだと呑気なことを言っている。
整形外科が、指の爪の下まで切れた傷を治療出来るのか分からないから、電話で聞いてみたらと私が言ってから初めて行動に移した。
治療出来ないと返答されて、消防署の救急搬送をする部署の電話番号を教えてくれた。それが夕方の4時ごろ。
消防署に教えられた近隣の総合病院に次々と電話をして、全てに断られてしまった。電話をした病院は、二次診療の病院なので、個人病院からの紹介がなければならないようなのだ。
奥さんの電話に埒があかないので、私の方で、勝手に、ずっと昔、私が一度だけ行ったことのある病院に電話をしてみた。電話口に出た看護師が、今、先生は手術中なので対応できないとの返答。こりゃダメかなと思ったが、八王子駅近くの病院を紹介してくれた。
奥さんが、その名前を耳にして、知っている。さっき、消防署で紹介された中にあった、と言って慌てて電話を掛けてみると、診察してくれると言う。
奥さんを乗せ、急いで車を運転して、病院に到着したのが5時過ぎだった。
思ったより大きな総合病院だった。
通常の診察はもう終了していて、受付で手続きをした後、呼ばれたのは応急診察室だった。
診察室の前のベンチに座って奥さんが診察と治療を受け終わるのを待っていると、10分ほどして、奥さん、晴々とした顔で出てきた。
指には、白いガーゼが被されている。
彼女、盛んに感心して饒舌である。曰く、この病院に来てよかった。医者が上手だった。処理も早くて、なんと指の爪を縫ったんだよ。その方が治りが早いのだって!
ともかく、一安心。
私はというと、とても疲れた。
夕飯は、奥さんに回転寿司を奢ってもらうことになった。そのくらいのサービスは受けないとね。
話が長くなるので、この三日間のシュトルム・ウント・ドランクの原因だけ列挙しておく。
梅雨が開けた。嘘だろ!
学友のSから季刊『北方文学』が送られて来た。S執筆の評論に感心する。
山の会の会合。終電で帰って来た。
畑をやっている時に、国会での党首討論を聞いていて、安倍首相の不誠実な受け答えにひっくり返るほど驚いた。
日本とポーランド戦を見ていて、疲れた。精神が傷ついた!
毎日が、やたらと暑い。
そして、トドメは奥さんが指を切ったこと。