マドロスの歌?

小学校低学年のころ、学校帰りによく口ずさんでいた歌がある。メローディーだけは鮮明に覚えていて、今でもなぞることができるのだが、なんという題名の曲なのかずっと分からなかった。

あーかい夕陽が荒野を染めて……おいらマドロス……ああ、いつになっても帰ーれーなーい。

こんなような歌詞だったと記憶していた。

昨晩、急に思い出して、試しに記憶している歌詞の一部をインターネットで検索してみると、なんと次のような曲の歌詞がでてきた。

紅い夕陽が ガードを染めて
ビルの向こうに 沈んだら
街にゃネオンの 花が咲く
俺ら貧しい 靴みがき
ああ 夜になっても 帰れない

なんと「荒野」は「ガード」、「マドロス」は「靴みがき」の記憶違いだった。何故、こんなふうに間違って記憶してしまったのかまったく分からないが、ひょっとしたらわたしの育った町が、海の近くの漁師町だったせいもあるのかも知れない。築港と呼ばれた港もあって、工場に資材を運ぶ船も常時出入りしていた。船員に船に招き入れられて、中で遊んだこともある。

題名は「ガード下の靴みがき」、歌手:宮城まり子、作詞:宮川哲夫、作曲:利根一郎とある。

早速、YouTubeで検索して聞いてみると、まさしく記憶していたメローディーが流れて来た。

宮城まりこだったんだ、男性が歌っていたんじゃないんだ。もっと低い声のように思っていたのになあ。マドロスじゃなくて、靴みがきだったんだ。靴磨きの少年の話だったんだ。戦後すぐの庶民の貧しい生活が想像される歌だった。長年の胸のつかえが下りたような、すっきりとした気持ちを味わうことができた。

Amazonで「ガード下の靴みがき」を探し、この曲が収められているCDを見つけたので、注文することにした。