腰椎骨折日誌3

 ギブスが取れるかもしれないという淡い期待を持って病院に出かけた。

 処置室に呼ばれると、コルセット屋が来ていて、カッターでギブスの横を切断し始める。どうするのか尋ねると、ギブスを一度外して、コルセットの寸法を取るのだと言う。寸法をとった後、再度ギブスを取り付けるのだそうだ。

 どうやって取り付けるのだろう、ゆるく取り付けてくれるといいな、医者に取り付けなくても良いか訊いてみよう、などと考えていると、医者が顔を出して、どうだったですか? 大変だけれど、あと1週間がんばってね、とだけ言い残して、そのまま引っ込んでしまった。

 あっという間のことで、質問することも、頼むこともできない。

 コルセット屋が、ギブスを取り外し、ラップを胴体に巻いていく。その上に石膏を染み込ませた包帯を何重にか巻いて行く。しばらくして石膏が固まると、中央から切り離して、中身のない自分のトルソが出来上がった。この中空のトルソを基にして、コルセットを作るのだそうだ。

 ラップを身体から取り除いて、もう一度、取り外してあったギブスを装着する。その上をテープで巻いて、さらにギブス用の包帯を一重に巻くと、元の通りのギブス体に戻ってしまった。

 来週の今日、出来上がると言うことだ。値段は、45,000円ほどかかるとのこと。保険が利くので、7割は戻ってくると言う話だったが、あまりの出費で一瞬目が点になる。自業自得、自己責任のなれの果て、おのれの情けなさを嗤え!

 仕方がない、諦めて、来週、コルセットが出来上がるまで、静かに暮らしていよう。